介護職員初任者研修とは、これから介護の仕事を始める人に、最初に取ってほしい資格。直接身体に触れる「身体介護」を行うには、介護の資格が必要ですが、数ある介護資格の中で最も取得しやすいのはこの、介護職員初任者研修です。
このページでは、介護職員初任者研修の資格内容・メリット・受験資格・合格難易度・取得後の転職のコツなどをご紹介します。
介護の仕事は大きく分けると、掃除や洗濯・料理などの「生活援助」と、利用者さんの身体に触れて食事・入浴・排せつなどの日常生活を支援する「身体介護」の2種類があります。これは、利用者の家を訪問して行う訪問介護でも、老人ホームなどの施設介護でも同様です。
このうち、利用者さんの身体に触れる「身体介護」をするためには、必ず介護の資格を保有している必要があります。
介護の資格は、比較的短期間でとれるものから、難易度の高い国家資格までさまざま。その中で、この介護職員初任者研修は3カ月程度で取得が可能なもっともとりやすい資格。いわば「介護のスタート資格」です。
かつてはホームヘルパー資格の1級、2級、3級や介護職員基礎研修がありました。現在は制度変更により、介護職員初任者研修が、新人向けの入門的な資格として位置づけられています。
身体介護ができるという意味で、旧ヘルパー2級相当の資格と言われていますが、それまであった施設での実習がなくなり、新たに研修修了後の試験が課せられるようになっています。
ヘルパー2級資格のときは、受講するだけで試験はありませんでしたが、介護職員初任者研修は、全過程終了後に試験があります。緊張してしまうかもしれませんが、試験は振り落とすためではなく、全過程を振り返るような確認の試験です。むしろ、試験を受ける、というより、「介護の技術や理念の基礎をしっかりと学び、身につけるための資格試験」と考え、真剣に受講をし、試験に向かうことをおすすめします。
この研修を受講し、試験に合格しさえすれば、介護の資格保持者となります。無資格だと、仕事内容も利用者のこともわからず、不安に思うことが多いですが、介護資格があれば自信も持て、すんなりと仕事に入っていけます。
仕事の幅が広がることで給料も無資格より相対的に高くなりますし、資格手当てがつく場合もあります。
介護の資格によっては、大学や福祉系の専門学校に通っていなければ、受験資格自体がない、という資格もあります。しかしこの資格は未経験でも取得できますし、学歴も年齢も問いません。
通信講座や短期集中講座、夜間開校の講座など、さまざまな種類があるので、仕事をしながら、また主婦でも取得しやすい資格です。無資格の方には、ぜひ取得をおすすめします。
この研修では、介護の知識を、理念から学ぶことができます。利用者の個性を尊重すること、その人らしさを大事にした介護をすることなど、とても大切な基本を学びます。
また人間の体のしくみ、老齢化したときの身体的な変化、基礎的な医療知識なども学びます。これらを知ることで、ケガや病気が起こったときの対処だけでなく、予防などに役立てることができます。
資格を取得すると、正社員にもなりやすく、リーダーや管理者へキャリアアップの可能性も広がります。
下図のように、「介護職員初任者研修」は介護実務の入門資格です。この後、「実務者研修」を経て、介護の実務期間3年の後には、国家資格である「介護福祉士」の受験資格を取得することができます。
また、「介護福祉士」取得後にさらに研修を受けることで、これから誕生予定の資格「認定介護福祉士」にチャレンジすることも可能です。
*認定介護福祉士の資格については、現段階では詳細未定
日本は世界の中でも高齢者が多い国です。2025年には団塊の世代が75歳以上に達するため、国民の3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上という、超高齢化社会に近づきます。
それにともない2025年には230〜250万人もの介護職が必要になると言われていますが、人材は圧倒的に不足しています。
つまり、介護の資格を取得すれば、就職・転職には困らないとも言えるのです。一般的な求人広告を見ても、介護の仕事の求人はとても多く、引く手あまたです。実際に介護の仕事の経験がなくても、意欲とこの介護職員初任者研修の資格さえあれば、就職には極めて有利です。
この資格を取得していれば、訪問介護、施設介護の両方の場で大いに生かすことができます。カリキュラムは、ベッドから車椅子への移乗、体の不自由な人への着替えの援助、食事介助、入浴介助、ベッドでの洗髪など、高齢者の介護の現実に合わせた実践的な内容です。講義だけでなく実技演習もあるので、すぐに現場で生かすことができます。
また、介護施設だけでなく、病院や診療所などで、医師や看護師の指示を仰ぎながら、ベッドメイキングや食事の配膳・下膳、患者さんの車いすへの移乗などをサポートする院内ヘルパーとして勤務することもできます。
また、介護の仕事をしなくても、生活の中で生かせる資格でもあります。百貨店やスーパー、飲食店、ホテルなど、高齢者が買い物をしたりサービスを受けたりするところでは、高齢者の身体や精神の理解のために、従業員がこの資格の取得を目指す場合があります。
自分の家族の介護のためや、地域の高齢者へのボランティアなどにこの資格を取得する人も数多くいます。
そして、自分自身の老後を考える上でも、研修で得た知識はきっと役に立つでしょう。
特にありません。カリキュラムも試験も日本語で書かれているので、日本語を理解していることは条件になります。
介護職員初任者研修を取得するには、以下の表のように、130時間の講習を受ける必要があります。
<介護職員初任者研修のカリキュラム>
科目 | 時間数 |
---|---|
職務の理解 | 6時間 |
介護における尊厳の保持・自立支援 | 9時間 |
介護の基本 | 6時間 |
介護・福祉サービスの理解と医療との連携 | 9時間 |
介護におけるコミュニケーション技術 | 6時間 |
老化の理解 | 6時間 |
認知症の理解 | 6時間 |
障がいの理解 | 3時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術Ⅰ 基本知識の学習 | 12時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術Ⅱ 生活支援技術の学習 | 53時間 |
こころとからだのしくみと生活支援技術Ⅲ 生活支援技術演習 | 10時間 |
振り返り | 4時間 |
合計 | 130時間 |
これは、自宅学習と通学での学習を合計した時間数です。そして、すべてのカリキュラム修了後に1時間程度の筆記試験を受けます。
研修実施校により、カリキュラムのプラン・時間割りはさまざま用意されています。土日に通うもの、夜間に通うもの、短期集中のもの、通信教育が大目のものなど、自分に合うものを選ぶことができます。
試験問題は受講内容に準じるもので、各研修実施校が作成しています。内容が公開されることはあまりありませんが、模擬試験のようなものは公開されることがあります。
1時間の筆記試験は振り落とすようなものではなく、学んだことを振り返るような、安心して受けられる内容です。多くの実施校は合格基準を70点程度に設定しており、記述式ではなく、選択式の場合が多いでしょう。
万が一、不合格になっても、追試でほぼ全員が合格するというのが実態のようです。
各研修実施校によって異なり、研修・試験を含め、6万円〜15万円程度のところが多いようです。また、ハローワークでは、時期によって、無料で受講できる研修を紹介してくれることもあります。
さらに、研修実施校によっては、自校が運営する老人ホームや訪問介護事業所に勤務することを条件に、研修・試験を無料で受けられる場合もあります。
またその逆に、無資格で老人ホーム等に勤務する人に対し、ホーム側が資格取得支援として、受講料の一部を負担してくれる場合もあります。
介護職員初任者研修の試験合格後は、晴れて有資格者として、介護業界で幅広く働くことができます。無資格者に比べ勤務先の候補も広がりますから、自分の希望条件に合うところを、複数の職場の中から選んでいけます。
ニーズが多く、パートの時給も正社員の月給も高いので、転職先の条件などをよく調べ、自分がもっとも働きたいと思える転職先を吟味しましょう。
介護業界では、実務の経験年数などを条件に、キャリアアップにつながるさらなる資格を取得することができます。
実務者研修を受講した後、介護実務3年目で、国家資格である介護福祉士資格を取得すれば、役職や給料の面でもさらに優遇されます。
介護の職場は、訪問介護事業所、デイサービス、有料老人ホーム、特別養護老人ホームなど豊富にあります。それぞれに勤務条件や給料、介護業務の内容にも差があります。
給料の多寡だけでなく、職場の雰囲気、自宅からの交通の便、介護内容など、さまざまな視点から、自分に合ったところを選びましょう。
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